【共通テーマ】ゆきえさんとの誓い


2014年12月21日(日)


ゆきえさんが仲間になりたそうな目でこちらを見ている。

「テッメェ等ァ! あたしのかわいい教え子たちを随分痛めつけてくれたじゃないかい? アァン?」

……ところでゆきえさんって誰?

今回の共通テーマはうじ虫の周りにゆきえさんがいないので、全て想像妄想幻想幻覚でお送りします。

膝上130cmもの大雪をせっせと雪かき用のスコップで掬い、これまた雪でできた簡易住居――所謂握ったスコップがいうところの『かまくら』の上へ叩きつけた。それが彼女、ゆきえさんとの出会いのきっかけであった。

ここで言っておくが当然、俺は人が住んでいる物だと思って雪を叩きつけた訳ではない。こんな大雪の日にかまくらを作って遊ぶ子供などいないと決め付けて、ぶちかました訳だ。

しかし、崩れた住居から白い空気がたちこめて、もぞもぞと雪が蠢き出す。そんな雪の塊を見て、怯えた僕は積まれた雪に背を向けた。

「んもう! 何すんのさ!」

背後から聞こえた声を無視して落ちてる雪を掬い始める。

「オイッてば!」

肩を掴まれ顔を合わせると、毛むくじゃらの獣が歯を見せた。

「人ん家壊しておいて知らん振りはちょっとヒドイんじゃないのォ?」

「ひえっ、ビッグフット!!」

そう、彼女がゆきえさん。腰に”何かの”皮を巻いていた。旬に敏感なお洒落さんだ。

それから僕は、彼女と楽しい夏を過ごした。新しいかまくらを作ることから始まり、海で砂浜に巨大な足跡を残したり。夏祭りでは屋台の錦鯉掬いの勝負をして、大量の錦鯉を仕入れた彼女に敗れ、新しい浴衣作りを手伝ったり……

そして夏の終わり。彼女との別れの日がやってきた。

「うじくんとも今日でお別れだね……」

「えっ? どうしたのゆきえちゃん! お別れなんてやだよ!」

「……あの、あたしね? ビッグフットじゃない? だから、冬の雪山で登山者をお迎えしなくちゃいけないの。いろいろと準備もあるし、もう行かなくちゃ……ッ」

「そんなこと関係ないよ! ゆきえちゃんがなんだろうと僕にとって君は大切な友達なんだ! どこにも行かないでよ!! ずっとそばにいてよ!!」

そんなこんなで僕は彼女と離れ離れになった。一人で雪山へ帰っていった彼女が寂しくならないように、あの日壊した雪の小山がかまくらだと教えてくれた喋るスコップを差し出して、約束をしたんだ。

「ね、また会えたその時は――」

仲間にしてくれる?

無理です。